診療支援
治療

25 ウィップル病
Whipple disease(WD)
青木 洋介
(佐賀大学教授・国際医療学講座(臨床感染症学分野))

▼疫学

 汚水などの環境中に広く棲息するグラム陽性桿菌であるTropheryma Whippleiによる全身感染症であり,臓器を限定しない,年余にわたる慢性感染症.頻度が低いまれな疾患であるため診断に至らないことが多い.白人男性での報告が多い.

▼病態

 小~中関節の関節痛(炎)が先行することが多く,その後,年単位の経過で体重減少,下痢(吸収不良症候群を伴う),腹痛が出現する頻度が高い(70~100%).全身性浮腫,リンパ節腫大,貧血,咳嗽,胸水などの多彩な症状も認める.眼筋麻痺や記憶障害などの神経学的異常を認めることもある.

 病型としては,①一過性WD(小児下痢症),②無症候性WD(糞便中のキャリア),③限局性WD(全身症状を伴わない心内膜炎,あるいは中枢神経症状),④古典的WD(全身症状を呈する),⑤免疫抑制性WD(TNF-α阻害薬による治療やHIV感染症を契機としてWDを発症する)に分類さ

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