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治療

1 ハンセン病
Hansen disease,leprosy
山岸 由佳
(愛知医科大学大学院教授・臨床感染症学)

▼定義

‍ Mycobacterium lepraeによる感染症.本菌を発見したノルウェーの医師,Armauer Hansenに由来してHansen(ハンセン)病といわれる.かつては「らい(病)」とよばれていた.

▼病態

 飛沫感染による慢性細菌感染症で,知覚低下を伴う皮疹,神経麻痺・肥厚・運動障害が特徴的所見.

▼疫学

 全世界での登録患者数は,1985年が500万人以上であったが,1995年には100万人を切り,2016年は約17万人,人口1万人あたりの罹患者数が1人以上のHansen病未制圧国数は1か国である.日本国内での新規患者数は,日本人は毎年数名,在日外国人は約5名といわれる.

▼分類

 菌数による分類として少菌型(paucibacillary:PB)(皮膚スメア陰性か,皮疹が1~5個)か,多菌型(multibacillary:MB)(皮膚スメア陽性か,皮疹が6個以上)がある.また,免疫学的分類(Ridley-Jopling分類)として,Ⅰ型(発症初期),TT型(その後治癒するか,または進展してらい菌に対し免疫能が高い),LL型(治療に全く反応しない),B型(TT型とLL型の中間で,BT型・BB型・BL型に細分する)も用いられる.皮疹が1つのみの場合にはPBのなかから独立してSLPB(single lesion of PB)という.

▼診断

 国内では,①知覚障害を伴う皮疹,②末梢神経の肥厚や運動障害,③M. lepraeの検出,④病理組織所見の4項目を総合して診断することになっている.Hansen病と診断した場合は,少菌型か,多菌型かを判断する.M. lepraeは人工培地で培養できないため,皮膚のスメア検体を用いた抗酸菌染色による検査のほか,病理組織特殊染色(Fite染色など),PCR検査などで診断する.

▼治療

 現在保険適用となっている抗ハンセン病薬はジアフェニルスルホン(

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