疾患を疑うポイント
●乳幼児,特に乳児期後半の高熱.
●時に大泉門膨隆を伴う.
●高熱が持続した後,解熱とともに発疹が出現.
学びのポイント
●ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6),7型(HHV-7)の初感染によって起こる.
●高熱が3~7日間続き,解熱後発疹が出現.
●発疹は顔面や体幹を中心とした淡紅色の斑状丘疹で,1~2日で色素沈着や落屑を残さずに消退.
●発熱を呈した6~12か月の乳児の救急外来受診の約20%を占めている.
●時に大泉門膨隆を伴う.
●熱性けいれんの誘因となる.
●病初期に口蓋垂の起始部の両側に永山斑とよばれる粘膜疹が出現する.
●合併症として,脳炎,脳症,臓器移植や造血幹細胞移植患者におけるウイルスの再活性化による移植後急性辺縁系脳炎などがある.
▼定義
ヒトヘルペスウイルス(human herpesvirus:HHV)6型(HHV-6),7型(HHV-7)の初感染によって起こる乳幼児の発熱性発疹性疾患で,高熱が続いたのち,解熱後に発疹が出現する.
▼病態
HHV-6,HHV-7はヘルペスウイルス科βヘルペスウイルス亜科ロゼオロウイルス属に属する2本鎖DNAウイルスである.どちらのウイルスも初感染以降は潜伏感染状態となり,断続的に唾液中から排泄される.唾液中のウイルスが経口もしくは経気道的に乳幼児に感染し発症する.潜伏期間はHHV-6で9~10日,HHV-7は不明である.
症候は学びのポイントに記載したとおりである.
▼疫学
6か月未満の乳児は母親からの移行抗体があるため患者のほとんどは生後6~24か月である.HHV-6,HHV-7の血清疫学調査からは,2~3歳頃までにほとんどの小児が抗体陽性となることが判明しており,不顕性感染は20~40%と推定されている.
▼診断
特徴的な臨床症状から診断するが,発疹出現前に診断をつけるのは難しい.HHV-6,HHV-7に対する血清抗体価の
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