診療支援
治療

2 抗菌薬の種類と概説
antimicrobial agents
藤村 茂
(東北医科薬科大学大学院薬学研究科教授・臨床感染症学)
渡辺 彰
(東北文化学園大学医療福祉学部特任教授・抗感染症薬開発研究部門)

 抗菌薬は,その起源の多くが細菌や真菌が産生する物質であったことから,従来,抗生物質といわれていた.現在では,ニューキノロン系薬のように化学合成される抗菌性物質(化学療法剤)も多くを占めるようになったことから,抗菌薬と総称されている.

β-ラクタム系薬

 本系統は,β-ラクタム環を基本骨格に有する薬剤であり,ペニシリン系とセファロスポリン系に大別される.

 古典的ペニシリンであるペニシリンGのほか抗菌スペクトルをグラム陰性菌(緑膿菌を除く)にまで拡大したアンピシリンやアモキシシリンと緑膿菌にも抗菌力を示すピペラシリンなどが実用化されている.その後,ペニシリナーゼと結合し,その作用を抑えるβ-ラクタマーゼ阻害薬としてクラブラン酸やスルバクタムをそれぞれアモキシシリン,アンピシリンに結合させた合剤が臨床使用されている.

 一方,β-ラクタム環に隣接する結合基の違いによるセファロスポリン系と,種類は

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