抗菌薬投与の計画を立てる最大の目的は,①臨床効果を最大限に発揮し,②副作用をできるだけ抑え(=安全性を最大限に発揮し),③薬剤耐性菌の発現をできるだけ抑えることにある.そのためには,病原菌の毒性や薬剤耐性,抗菌薬の病原菌に対する抗菌力,生体宿主すなわち患者の副作用発現などに関する忍容性の3者のバランス(図11-40図)を考慮することが不可欠である.抗菌薬は,患者側と病原菌の2者に対し作用を示すことから,抗菌作用と生体に及ぼす薬理作用を考慮せねばならず,そのうえで最適な投与法,投与量を決めなければならない.以下に具体的な考え方として,Hit and AwayとPK-PD理論を示す.
感染症起因菌に対して選択された抗菌薬を,必要十分な用量かつできるだけ短期間に投薬し病原体を叩くHit and Awayとよばれる抗菌化学療法が推奨されている.すなわち,感染症が改善したと判断された場合,できるだ
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