疾患を疑うポイント
●小児~成人までいずれの年齢でも発症しうるが,年齢層により原因食物や臨床型が異なる.
●最も典型的なのは即時型食物アレルギーで,原因となる食物を摂取後2時間以内に皮膚症状・呼吸器症状などが認められる.
学びのポイント
●食物アレルギーの多くは食物中の蛋白質に対するIgE抗体を介するⅠ型アレルギー反応である.小児期に多く認められるが,思春期,成人期でも最近は増加傾向.
●小児期には鶏卵・牛乳・小麦・ピーナッツなどが原因として多く認められるが,成人では甲殻類・小麦・魚類・果物類・木の実類などが主なもの.
●成人では即時型食物アレルギーとその特殊型として食物依存性運動誘発アナフィラキシー,口腔アレルギー症候群などが多い.
▼定義
『食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》』では「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義している.
▼病態
食物に対する感作経路として経気道感作,経腸管感作,そして,経皮感作がある.経皮感作については,ピーナッツオイルによる経皮感作の報告や,加水分解小麦を含む石鹼の使用による小麦アレルギーの発症例の研究から,食物アレルギー発症との関連性が注目されている.消化に対して抵抗性のある食物中の蛋白質が原因アレルゲンとして小腸から吸収され症状が誘発されると考えられている.
学童期~成人期に発症する食物アレルギーの特殊型としては,食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)と,口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)がある.
「AMED研究班による食物アレルギー診療の手引き2017」によれば,食物依存性運動誘発アナフィラキシーは,原因食物を摂取後に運動す