診療支援
治療

4 多発性筋炎,皮膚筋炎
polymyositis/dermatomyositis
川畑 仁人
(聖マリアンナ医科大学教授・リウマチ・膠原病・アレルギー内科)

疾患を疑うポイント

●成人だけではなく小児にも発症しうる.

●筋症状として筋力低下や筋痛,筋把握痛を認める.

●皮膚筋炎では皮疹を手指や顔面,前胸部,頸部から肩,上腕や大腿,関節背面などに認める.

●検査値異常としてCKやアルドラーゼの上昇を認める.

●間質性肺炎を認める場合がある.

●悪性腫瘍を伴う場合がある.

学びのポイント

●特発性炎症性筋疾患に含まれる疾患.

●筋症状にヘリオトロープ疹やGottron徴候,Gottron丘疹などのホールマーク皮膚徴候(表13-5)を伴う場合が皮膚筋炎,伴わない場合が多発性筋炎.

●筋症状がなく皮膚徴候のみの無筋症性皮膚筋炎があり,時に急速進行性間質性肺炎を伴い予後不良な場合がある.

●病型分類が自己抗体によって可能な場合がある.また病型を知ることにより,起こりうる症状や予後を判断でき治療の選択に結びつく場合がある.

●重篤な合併症として心筋炎や嚥下障害,呼吸筋障害,間質性肺炎,悪性腫瘍合併に注意.

▼定義

‍ 多発性筋炎皮膚筋炎は,自己免疫により横紋筋に炎症と破壊が生じ,体幹および四肢近位部の筋力低下をきたす疾患である〔第10章「皮膚筋炎,多発性筋炎」の項()も参照〕.皮膚筋炎では,筋炎に特徴的皮膚症状であるGottron(ゴットロン)徴候やGottron丘疹,へリオトロープ疹を合併する.6か月以上,この特徴的皮膚症状を中心としたホールマーク皮膚徴候のみを呈し筋症状や所見がない場合は,無筋症性皮膚筋炎とよばれる.

▼病態

 筋病理組織では,横紋筋における単核球の未壊死筋線維周囲への浸潤と,筋線維の変性,壊死,再生が重要な所見であり,浸潤細胞は,TおよびBリンパ球,マクロファージなどである.多発性筋炎ではCD8陽性Tリンパ球による筋傷害,皮膚筋炎ではCD4陽性Tリンパ球の血管周囲への浸潤と筋内鞘小血管への補体沈着に伴う筋血管障害が機序として指摘されている.

▼疫

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