診療支援
治療

7 成人発症スチル病
adult-onset Still disease(AOSD)
川上 純
(長崎大学大学院教授・先進予防医学共同専攻リウマチ・膠原病内科学分野)

疾患を疑うポイント

●主症状は発熱(1日1回夜間あるいは2回のピークをもつ弛張熱),関節症状(関節痛,関節炎),皮疹(典型的には発熱に一致して出現・消退する紅斑).正常上限の5倍以上の血清フェリチン値も参考となる.

学びのポイント

●種々のサイトカインやケモカインの異常産生が,この疾患の炎症病態に関与していると考えられている.

●生命予後は良好であるが,高サイトカイン血症を伴うMASやDICが合併すると予後不良.

▼定義

 弛張熱,関節症状,消退しやすい紅斑を主症状とする全身性炎症性疾患.病因は不明であるが,発症要因には遺伝的背景と環境因子が考えられており,後者において種々の感染症が誘因になると報告されているが,一定の見解は得られていない.高サイトカイン血症,特に血清IL-18の異常高値を認める.

▼病態

 マクロファージとT細胞の異常な活性化と,それに引き続く高サイトカイン血症が発症に関与していると考えられている(図13-7).IL-18はIL-1βとともに主にマクロファージにおいて前駆体として産生されインフラマソーム活性化により成熟型となり細胞外に分泌されるので,成人発症スチル病ではインフラマソームの活性化が病態形成の引き金になっていると推測されている

▼疫学

 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(研究代表者:住田孝之)における2010年の全国疫学調査では推定有病率は人口10万人あたり3.7人,2次調査からは平均発症年齢は46歳,男女比は1:2.6とやや女性に多かった.

▼分類・診断

‍ 表13-12に示すYamaguchiらの分類基準とFautrelらの分類基準があるが,Yamaguchiらの分類基準は感度および特異度がともに高く,最も使われる基準である.しかしながら,大項目と小項目に挙げられている症状と所見は非特異的なものであり,適用には感染症,悪性腫瘍,本疾患以外の膠

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