診療支援
治療

10 シェーグレン症候群
Sjögren's syndrome
小川 法良
(浜松医科大学病院准教授・内科学第三)

疾患を疑うポイント

●更年期の女性に好発するが,小児や若年女性,高齢者にも認められる.

●口腔,眼乾燥症状が特徴的.倦怠感,齲歯の多発,眼精疲労なども初発症状となる.

●白血球減少,リウマトイド因子陽性などの健診異常でみつかる場合がある.

●乾燥症状を欠き,それ以外の臓器症状(腺外症状)で発症する症例も存在する.

学びのポイント

●唾液腺,涙腺を病変の主座とする全身性自己免疫疾患.

●病変組織にリンパ球を主体とする細胞浸潤が生じ,徐々に唾液や涙液分泌組織の破壊が進行し,口腔,眼乾燥症状が出現する.

●一部の症例では,唾液腺,涙腺以外の諸臓器に特徴的な臓器障害を生じる.

●悪性リンパ腫の合併率が健常人と比べて高い.

▼定義

 唾液腺,涙腺を病変の主座とする慢性炎症性自己免疫疾患であり,口腔,眼乾燥症状をはじめ,種々の臓器障害をきたす.

▼病態

 病変組織にリンパ球を主体とする細胞浸潤が生じ,徐々に唾液や涙液分泌組織の破壊が生じる.これにより,涙液および唾液分泌が障害され,ドライマウス,ドライアイをきたす.

 一部の症例では,唾液腺,涙腺以外の諸臓器に特徴的な臓器障害を生じる.間質性肺炎,胆汁性胆管炎,間質性腎炎〔第9章「シェーグレン症候群による腎障害」の項()も参照〕,腎尿細管性アシドーシス,神経障害などがある.

▼疫学

 2011年度に行われた全国疫学調査の結果,有病率は0.05%とされている.平均年齢は60.8±15.2歳,男女比1/17.4,一次性/二次性が58.5%/39.2%,一次性のうち腺型/腺外型(後述)が69.1%/24.7%(不明6.2%).二次性では,関節リウマチ38.7%,SLE 22.2%となっている.

▼分類

 一次性とほかの膠原病に伴う続発性(二次性)に分類される.病変が涙腺,唾液腺に限局する腺型と,涙腺,唾液腺のみならず,全身性合併症を伴う腺外型に分類される.

▼診断

 1999年の

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