診療支援
治療

(3)抗GBM病
anti-glomerular basement membrane disease
保田 晋助
(東京医科歯科大学教授・膠原病・リウマチ内科)

疾患を疑うポイント

●急速な腎機能の悪化と尿所見の異常を認める.

●肺胞出血などの呼吸器病変を伴うことがある.

学びのポイント

●急速進行性糸球体腎炎や肺腎症候群をきたす疾患として,ANCA関連血管炎,SLEとともにおさえておくべき疾患.

●一般に腎予後は不良.

▼定義

 抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)抗体が陽性であり,急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)を呈する疾患群.腎炎のみの場合と,肺出血を伴う場合がある.

▼病態

 抗GBM抗体は糸球体基底膜および肺胞毛細血管基底膜に対する自己抗体であり,Ⅳ型コラーゲン上の通常は隠されているcryptic epitope(潜在抗原決定基)を認識する.感染症や炎症によって基底膜が障害されることでGBM抗体が結合し,局所で免疫複合体を形成,補体の活性化や炎症細胞浸潤による炎症のため基底膜の断裂が引き起こされる.結果として,腎では半月体形成性糸球体腎炎を発症し,肺では主にびまん性肺胞出血をきたす

▼疫学

 わが国での患者数は200~400人程度とされる.

▼分類

 過去には腎炎のみの場合を抗GBM腎炎,肺胞出血を伴う場合にGoodpasture(グッドパスチャー)症候群とよんでいたが,2012年のChapel Hill分類により「抗GBM病」とされている.

▼診断

 自覚症状としては,全身倦怠感・発熱などで,症例によっては血痰・喀血をきたす.尿所見異常(蛋白尿・血尿),腎機能の急速な悪化,抗GBM抗体陽性より診断する.腎生検で半月体形成性糸球体腎炎を呈し,蛍光抗体法で係蹄壁にIgGの線状沈着(linear pattern)を認める(図13-10).ANCA関連血管炎をはじめとする血管炎症候群,全身性エリテマトーデス(systemic lup

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