診療支援
治療

3 慢性肉芽腫症
chronic granulomatous disease(CGD)
布井 博幸
(愛泉会日南病院・院長)

疾患を疑うポイント

●乳幼児期より繰り返す深部難治性感染症や難治性腸炎,肝肉芽腫を主症状としている.家族歴があるとより疑われる.

学びのポイント

●活性酸素非産生菌(黄色ブドウ球菌,カンジダやアスペルギルスなど)を貪食殺菌できず,慢性炎症が惹起される.

●患者の約半数に難治性腸炎が報告され,免疫制御異常も伴っている.

●日常生活への配慮と適切な予防薬内服が重要である.

●適切なドナーがいる場合,10歳代での骨髄移植が望ましい.

▼定義

‍ 深部難治性感染があり,肉芽腫形成を伴う食細胞活性酸素産生能障害による疾患.

▼病態

 食細胞の活性酸素産生能障害(欠損)によるサイトカイン産生の持続,酸化ストレス応答蛋白の誘導障害,エフェロサイトーシス(efferocytosis)障害などの免疫制御異常が,炎症を遷延化する結果となり,肉芽腫像を伴った慢性炎症を形成する.軽症~重症の程度の差はあるが,亜型による病態の違いはない.

 なお,エフェロサイトーシスとは食細胞が死につつある(アポトーシス)細胞を除去する過程である.この過程にも活性酸素が関与しているため死細胞埋葬(エフェロサイトーシス)障害が発生している.

▼疫学

 CGDの発生頻度は,人種による違いもあるが,16万~25万人に1人である.p47phox欠損型の発生頻度に,世界で偏りがあり,わが国で5%前後,欧米で14~20%,中近東やインドでは,50%を超える地域がある.人類の移動と血族結婚による遺伝子変異の偏りが関与していると考えられる.

▼分類

 食細胞活性酸素産生酵素は6つ(gp91phox,p22phox,p47phox,p67phox,p40phox,rac1/2)の蛋白質複合体で構成されている.それぞれの遺伝子変異でCGDの病態をとることとなる.gp91phoxはX染色体に,ほかの因子は常染色体にコードされている.

▼診断

 CGDでは肺真菌症などの感

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