診療支援
治療

3 刺激性ガス
irritant gas
小澤 昌子
(福島県立医科大学附属病院・高度救命救急センター)

▼概説

‍ 二酸化硫黄(SO2),塩化水素(HCl),アンモニア(NH3),塩素ガス(Cl2),窒素酸化物(NO,NO2),ホスゲン(COCl2)などがある.

▼毒性のメカニズム

 HCl,SO2,NH3などの水に溶けやすい刺激性ガスは,主に目・鼻・口・上気道の粘膜の粘液中に急速に溶解する.Cl2など水溶性が中等度のガスは,吸気とともにより深部まで吸入され,上気道から下気道の粘膜粘液中に広く溶解する.NO,NO2,COCl2など水に溶けにくいガスは,主に下気道粘膜の粘液中に緩徐に溶解し,蓄積する.これらのガスは粘液中で電離して酸性やアルカリ性を示すようになり,粘膜を刺激して局所の組織傷害を引き起こす.NO2は上記機序に加えて,フリーラジカルを生じて肺組織を直接傷害すること,メトヘモグロビン血症を生じること,直接血管平滑筋に作用して血管拡張作用を示すことが知られている.

▼中毒症状

 主に,ガスを吸着

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