診療支援
治療

第1版 序

 医学書院から毎年『今日の治療指針』が出ており,多くのかたがたに広く利用されている.同社より約2年前,この本の整形外科版のようなものが出来ないものかとの相談を受けた.近年,整形外科関係の書物は手をかえ,品をかえて沢山出ているので,いまさら屋上屋を架す必要もあるまいという気もしたが,治療に主眼をおいて実地臨床にただちに役立つような百科全書的なものは案外少ないようであり,意義はあろうと考えて企画をお受けした.

 そもそも整形外科の発達の歴史的背景は国によってさまざまであるので,その守備範囲にも大きな違いがある.例えば,ドイツではUnfallheilkundeが別のspecialityとなっているためか,Orthopädieは比較的“cold surgery”に主体がおかれているようであるし,アメリカでは外傷は含まれるかわり,neurosurgery rheumatology,oncologyなどとの境界領域で整形外科の守備範囲は狭められつつある.そんな目でみると,わが国の整形外科はいささか欲張り過ぎともいえるほど守備範囲が広く,大変な科である.しかし未だ内科,外科のように細分科はされていないので,整形外科医たるものは実に広範囲な知識と経験を要求されるし,これがまた研究心をかり立てるものであり,これ故にこそ多くの学会や研究会があり,本も売れているのであろう.

 そんなわけで,われわれ編集者はそれぞれ得意とする分野を分担し,項目と筆者を考えた.その上で会合を重ね,重複を整理し,なるべく各部門の統一をはかったが,各編者の個性は消しがたく,ある程度の自主性も本書の特色となるであろうことを期待して最終案とした.筆者はなるべく第一線にて実際にその項目に相応しい活躍をされている方々に依頼した.大変お忙しい方ばかりであるにも拘わらず,比較的短時日のうちにお書きいただき,ここに刊行の運びとなったこと

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