診療支援
治療

脆弱性骨折
Insufficiency fracture
白濵 正博
(医療法人社団慶仁会川﨑病院 院長〔福岡県八女市〕)

【疾患概念】

 骨粗鬆症や既存疾患による骨脆弱状態に,転倒など軽微な外力が加わることによって生じた骨折.多職種連携を活用して早期手術,早期離床が求められる.


部位別骨折治療法

【1】椎体骨折

 椎体圧迫骨折は,高齢者の骨折部位として最も多い.通常は安定型骨折であるため安静,体幹装具による保存療法が選択される.圧潰が高度で痛みが強い症例には,バルーン椎体形成術(balloon kyphoplasty;BKP)や経皮的椎弓根スクリュー固定(percutaneous pedicle screw;PPS)が,高度の椎体破裂骨折や偽関節,変性側弯症,神経症状を呈する症例に対しては,観血的脊椎固定や変形矯正術が行われる.

【2】上腕骨近位部骨折

 転位が少ない症例は保存療法でも可能であるが,高齢者は起座・起立に上肢の支えが必要になるため,早期の機能訓練を目指し手術治療を選択することもある.ロッキングプレート,髄内釘が多用されるが,粉砕の強い4-part骨折や脱臼骨折では,人工骨頭置換術やリバース型人工肩関節置換術が行われる.

【3】橈骨遠位端骨折

 保存療法と観血的治療の長期的予後には大きな差はないが,関節内骨折に対しては掌側ロッキングプレート固定による手術治療が多く行われている.ただし,屈筋腱断裂など合併症も起こりうるため,手術には注意を要し抜釘も必要になる.

【4】大腿骨近位部骨折

 長期臥床を回避するために,早期手術が推奨される.欧米では48時間以内に手術をするようになっている.現在わが国の平均は4.2日である.頚部骨折は通常Garden分類が用いられ,StageⅠ,Ⅱの非転位型は骨接合術を,StageⅢ,Ⅳの転位型は人工骨頭置換術が推奨されるが,固定インプラントの改善により,転位型も骨接合術の適応が広がってきている.転子部骨折は,現在90%近くがshort femoral nail(SFN)タイプ

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