【疾患概念】
競技種目に特有の外力および受傷機転により生じる,骨折や靱帯損傷などの外傷と,繰り返しの動作により生じる慢性障害に大別される.手関節・手部では外傷の頻度が高く,慢性障害の頻度はそれほど高くない.
手指の外傷は,すべてのスポーツ外傷および障害のなかで最も頻度が高く,骨折,腱損傷,靱帯損傷など多岐にわたる.ボール競技での受傷が多いが,すべてのスポーツ競技で生じる可能性がある.
慢性障害は,手関節に負担のかかる競技である,体操,剣道,ゴルフによる障害が多い.体操は,スポーツのなかでも手や腕に負担のかかる競技であり,足関節の障害に次いで手関節の障害が多いといわれている.
【病態】
(1)急性外傷
①槌指,マレット指:野球のように硬いボールで突き指をして生じる.伸筋腱の末節骨付着部での断裂を腱性マレット指,付着部の骨片を含む剥離骨折を骨性マレット指という(図3-12図).
②母指MP関節尺側