急性化膿性骨髄炎 | 医学書院

【疾患概念】

　骨髄炎は，細菌をはじめ抗酸菌，真菌などの病原体が骨に感染して起こる骨の炎症および，それに伴う骨の破壊性変化である．化膿性骨髄炎とは，細菌が骨に感染して起こる化膿性炎症のことであり，このうち急性発症するものを急性化膿性骨髄炎という．感染，炎症は骨髄を中心とし，骨皮質や骨膜にも生じる．

【頻度】

　抗菌薬の発達や外傷初期治療の発展によって，発症頻度は減少してきたと考えられる．しかし近年において，高齢者や内科的併存症をもつ易感染性宿主の増加により，発症は増加傾向となる可能性がある．

【臨床症状】

　末梢骨の急性化膿性骨髄炎の患者は通常，限局性の熱感，腫脹，発赤，疼痛という局所症状に加え，発熱，全身倦怠感，易疲労感，進行すれば体重減少といった全身症状を伴うことが多い．慢性化膿性骨髄炎との主な違いは，このような全身症状を伴うか，また，局所症状の強弱である．慢性化膿性骨髄炎であれば局所炎症所見，症状はあっても弱いことが多いが，急性化膿性骨髄炎では強いことが多い．

　乳幼児では，初期では機嫌が悪くなったり，患肢を動かさなくなったりする．他動的に動かそうとすると疼痛を訴えたり，健側と比較して可動性が低下していることもある．下肢に発症した場合は跛行を呈する．成人では全身症状を欠くこともあり，局所の疼痛が主症状となることもある．

【病態】

　血流に乗って病原体が骨に運ばれ感染が成立する血行性骨髄炎と，そうではないものに分けられる．血行性骨髄炎以外では，褥瘡などの感染組織または感染した人工関節からの連続的な進展によるもの，開放骨折など外傷からの感染によるものがある．局所血流不良，異物の存在は骨髄炎発症の契機となりうる．急性血行性骨髄炎は小児に多く，長管骨の骨幹端部(特に大腿骨と脛骨)に発症することが多い．ここでの血流が緩やかであることから感染が成立しやすいと考えられている．外傷性は成人に多く発症