【疾患概念】
1893年にGarréは膿瘍や瘻孔を伴わず,骨の膨隆と肥厚を起こす骨髄炎を報告した.それ以降,細菌培養陰性,単純X線検査で著明な骨硬化をきたし,組織像で慢性骨髄炎の所見を認めるものをGarré骨髄炎と呼称するようになった.
【病態】
軽微な慢性炎症により骨芽細胞が刺激されるため,皮質骨の肥厚による骨の膨隆が形成される.30歳以下の男性に多いが,中高年でもみられる.大腿骨,脛骨,下顎骨などに好発する.
【臨床症状】
自覚症状は軽微なことが多い.時に患部の発赤,腫脹,疼痛(特に夜間痛)などの症状が出現し,数か月から数年間再燃を繰り返すが,罹患骨の機能障害は少ない.
必要な検査とその所見
①血液検査:赤血球沈降速度,白血球数,CRP値などは多くの症例で正常値を示す.
②画像所見:単純X線検査(図4-3図)やCTでは,病巣部を中心に骨皮質は紡錘状に肥厚し,硬化像が強く,骨髄腔が不明確になる.骨シンチグラフィーでは集積像を認め,早期診断に有用である.
③細菌学的検査:起炎菌は一般に検出されないが,黄色ブドウ球菌やアクネ菌,真菌を検出したという報告もみられる.
④病理組織学的検査:慢性非特異性炎症像を認める.
鑑別診断で想起すべき疾患
Paget病,SAPHO症候群,類骨骨腫,骨硬化を呈する悪性骨腫瘍(骨肉腫やEwing肉腫)など.
診断のポイント
繰り返す症状と特徴的なX線所見が重要である.骨硬化像を呈する悪性骨腫瘍との鑑別が問題となり,確定診断に生検を要すことがある.
治療方針
炎症症状に対する消炎鎮痛薬や抗菌薬の投与による保存療法が主体となる.症状が持続する例では,手術療法を検討する.開窓術および術後の抗菌薬投与は除痛効果があるが,病巣の範囲が広いため,再発の可能性がある.診断目的の生検を兼ねて試みることがあるが,根治は難しい.髄腔のリーミングや髄内釘が有効であったとする報告も
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