【概要】
有効な化学療法が導入される以前,骨肉腫やEwing肉腫など高悪性度骨腫瘍の治療成績はきわめて不良であり,診断後直ちに患肢の切断術が行われていたにもかかわらず,多くの患者は,やがて顕在化する肺転移などの遠隔転移によって生命を奪われていた.この事実は,これらの高悪性度骨腫瘍の多くは診断時すでに微小な遠隔転移を生じていることを示しており,生命予後改善のためには有効な全身化学療法の導入が必須であることを物語っていた.1980年代,骨肉腫の治療にドキソルビシン,メトトレキサート薬,シスプラチン薬を用いた化学療法(MAP療法)が導入され,その生命予後は劇的に改善した.また,術前化学療法によって患肢温存術が可能となるなど,化学療法の導入は,高悪性度骨腫瘍治療のまさしくパラダイムシフトを引き起こした.
一方,悪性軟部腫瘍の多くを占める非小円形細胞肉腫においては,長年,ドキソルビシンとイホスファミ
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