【疾患概念】
軟部腫瘍は,全身の軟部組織(細網内皮系,グリア,実質臓器の支持組織は除く)から生じる非上皮性腫瘍の総称である.2020年のWHO分類では亜型も含めると100種類以上におよび,組織型がきわめて多様である.また,悪性度も良性,良悪性の中間型,低悪性度から高悪性度のものまでさまざまであるため,正確な診断は容易ではない.治療にも専門的知識が必要であるため,軟部腫瘍が疑われる場合には,骨・軟部腫瘍専門医にコンサルテーションあるいは紹介することが望ましい.
【頻度】
日本整形外科学会による2017年度全国軟部腫瘍登録によれば,わが国の良性軟部腫瘍で発生頻度の高いものは,脂肪腫,神経鞘腫,血管腫,腱鞘巨細胞腫,線維腫の順であった.
必要な検査とその所見
軟部腫瘍の画像診断においては,単純X線検査や超音波画像検査も行われる場合があるが,MRIが最も有用性が高く必須の検査といえる.脂肪腫,神経鞘腫