悪性骨・軟部腫瘍の予後は,化学療法の導入により飛躍的に改善した.しかし進行期に対しては新規薬剤が開発されているものの,現在主に用いられている薬剤は40~50年前から使用されてきたものである.近年さらなる予後改善効果を目指して,免疫療法が盛んに臨床導入されている.これまで,悪性骨・軟部腫瘍に対してがんワクチン療法などが行われてきたが,期待できるような抗腫瘍効果は得られなかった.優れたがん抗原の同定や,がん抗原に対して長期に免疫記憶を保持できるT細胞の増幅など,精力的に研究が行われているが実用化にはまだ遠い.一方,2010年代初頭から報告された免疫チェックポイント阻害薬やT細胞の養子免疫療法は劇的な効果をもたらし,これまでのがん治療の歴史を大きく塗り替えた.悪性骨・軟部腫瘍にも多くの試験が行われている.
免疫チェックポイント阻害薬
抗原提示・認識における重要な抑制反応にかかわる分子群は,免疫チ