1.介護保険とは
介護保険制度は,医療保険制度とは独立した制度として2000年に導入された.人口構成比の未曽有の高齢化に対応し,健康寿命を延伸することがその理念である.そして,高齢者の身体的および知的障害を総合的に判断して介護サービスを公的に提供し,社会全体でケアすることがその主旨である.
2.関節リウマチは介護保険の特定疾患である
介護保険の対象者は,65歳以上で要支援・要介護認定(要支援1,2および要介護1~5のいずれか)を受けた人(第1号被保険者),もしくは40歳以上65歳未満の医療保険加入者のうち,指定された16種類の疾患(特定疾病)が原因で,要支援・要介護認定を受けた人(第2号被保険者)である.
この特定疾病には整形外科に関連が深いものとして,後縦靱帯骨化症,脊柱管狭窄症,骨折を伴う骨粗鬆症,両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症,そして関節リウマチが含まれている.発症年齢が40~60歳代であり,かつ病勢によって生活機能障害が進行する関節リウマチにとって,この制度は的を射たものとなっている.
関節リウマチ患者の主治医となった場合には,「65歳未満であっても40歳以上であれば,介護保険サービスを利用できる,少なくとも要介護認定を申請できる」ことを患者に説明するとともに,市町村からの要請に応じて主治医意見書を作成しなくてはならない.
3.関節リウマチ患者の介護保険サービスの利用状況
公益社団法人日本リウマチ友の会は5年ごとに患者実態調査を行い,その結果を『リウマチ白書』として報告している.2020年版の『リウマチ白書』によれば,回答者4,448人のうち介護保険制度を申請したものは1,271人(28.6%)であった.
認定結果は非該当が3.8%,要支援1が21.5%,要支援2が32.6%,要介護1が10.7%,要介護2が18.4%,要介護3が6.9%,要介護