診療支援
治療

Kniest骨異形成症
Kniest dysplasia
鬼頭 浩史
(あいち小児保健医療総合センター 副センター長〔愛知県大府市〕)

【疾患概念】

 2型コラーゲン異常症のうち,四肢大関節の膨隆と関節拘縮を特徴とする疾患である.四肢および体幹が短縮し,高度な顔貌異常(鼻根部陥凹,眼球突出など)を呈する.口蓋裂,網膜剥離や高度近視,難聴の合併頻度も高い.関節拘縮は進行性で,年長児では脊柱変形も伴いやすく,体幹の短縮が目立つようになる.

【臨床症状・X線所見】

 四肢の短縮は近位肢節で著明である.長管骨は短縮し,骨幹端部の横径が拡大するためダンベル状を呈する.椎体は前後径,左右径ともに増大し,coronal cleftを認めることがある.胸郭は先天性脊椎骨端異形成症(SEDC)と同様,樽状である.大腿骨頭の骨化遅延と内反股もSEDCと類似するが,恥骨や足根骨(距骨・踵骨)の骨化遅延が認められないことがSEDCとの鑑別点である(図7-12).関節は膨隆するとともに拘縮し,早発性の変形性関節症が発症する.脊柱では,扁平椎を伴って後側弯変形が進行する.


診断のポイント

 ダンベル状の長管骨が特徴の変容性骨異形成症(metatropic dysplasia)との鑑別が問題となるが,Kniest骨異形成症では樽状,変容性骨異形成症ではベル状の胸郭を示すこと,扁平椎の程度がKniest骨異形成症のほうが軽いこと,椎体にcoronal cleftを認めることなどから鑑別される.SEDCとは椎体の形態(SEDCでは西洋梨状,Kniest骨異形成症では長方形),上述の骨化遅延の程度(SEDCのほうが重度)などから鑑別可能である.


治療方針

 進行性の関節拘縮,関節障害に対する治療が必要とされるが,症例数が少なくエビデンスのある治療法はない.SEDCと同様,下肢アライメント異常は小児期に8プレートなどで矯正するのが望ましい.日常生活動作を維持するための装具療法,機能的な肢位を獲得するための骨切り術などが考慮される.高度近視や網膜剥離,白内障

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