診療支援
治療

概説
overview
滝川 一晴
(静岡県立こども病院 医長〔静岡市葵区〕)

【疾患概念】

 過去には単純X線像の所見から脊椎骨幹端異形成症(spondylometaphyseal dysplasia;SMD)として1つのグループに分類されていた.しかし,SMD Kozlowski型は,以前からX線像の特徴の類似性が指摘されていた変容性骨異形成症と同一のカルシウムチャネルの一種であるTRPVファミリーの1つをコードするTRPV4のヘテロ接合性変異による疾患群の軽症型であることがわかり,2010年の骨系統疾患国際分類からTRPV4異常症となった(2019年の分類では,グループ8:TRPV4グループ).Kozlowski型以外のSMDは主に国際分類のグループ12:脊椎骨幹端異形成症にまとめられ,SMD corner fracture型(Sutcliffe型)もこのグループに属している.SMDには多くの個別の報告があり,遺伝的異質性のある疾患群である.本項では,代表的なKozlowski型とcorner fracture型について述べる.


診断のポイント

 臨床像と単純X線像の特徴をもとに診断に至る.


治療方針

 脊柱変形や下肢変形に対する治療が主体となる.


患者説明のポイント

 疾患の特性から定期的な受診が必要であることや,疾患の特徴や予後について本人(保護者)に説明する.


1.Kozlowski型

 SMDのなかで最も頻度が高い.発生頻度は少なくとも100万人に1人といわれている.

【遺伝形式】

 常染色体優性遺伝.


身体所見

・体幹短縮型低身長を呈する.

・幼児期からのwaddling gait.関節可動域制限,時に外反膝を示す.

・進行性の脊柱後側弯.時に幼児期から出現するが,主に思春期や成人期に生じる.

・まれに末梢神経障害を合併する.


X線所見

・汎扁平椎,進行性の脊柱側弯.

・腸骨基部(basilar portion)は広く短い.臼蓋は広く水平化している.

・管状骨骨幹端部の不整像

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