診療支援
治療

流蝋骨症
Melorheostosis
魚谷 弘二
(岡山大学病院 医員)

【疾患概念】

 流蝋骨症(melorheostosis)は,1922年にLeriとJoannyにより提唱された良性の硬化性の骨異形成病変である.

【頻度】

 100万人あたり0.9人の発生率である.

【臨床症状または病態】

 ①慢性的な骨痛,関節痛,骨の腫大.

 ②局所的な骨変形と関節変形,時に過延長や短縮.

 ③変形に伴う神経の絞扼症状.

 ④病変部位に一致する皮膚の強皮症様などの変化や腱・靱帯・関節包といった軟部組織の変化による関節拘縮.

以上が典型的な症状であるが,全く症状のない例もある.

 原因としては,胎児期の中胚葉障害や血管障害,感染などに起因する炎症性変化などが報告されている.LEMD3遺伝子の機能喪失変異により起こる常染色体優性遺伝性骨斑紋症のなかで,本症と骨斑紋症を併せもつ症例が報告されているが,本症を引き起こす遺伝子異常の存在はいまだ明らかではない.性差はなく,遺伝性も認められていないとされる.若年から成人の広い範囲で認められるが,成人前に診断されることが多い.好発部位は,上肢(22%),下肢(70%),上肢下肢(4%),骨格(4%)とされる.


必要な検査とその所見

 ①単純X線:特徴は長管骨長軸に沿って蝋を流したような皮質骨の骨硬化病変であり,波状を示す(dripping candle wax)といわれるが(図7-28a),この典型的な像を示すのは全体の1/3の症例とされる.通常は骨の片側に限局し,正常骨と病変部の境界は明瞭であるが,時にこの境界は海綿骨内に至ることもある.

 発生範囲により,単一の骨のみに起こる単骨型(monostotic form),単一肢のみに起こる単肢型(monomelic form),多数の骨に起こる多骨型(polyostotic form)に分類される.その他,骨腫様変化(30%),蝋燭様変化(22%),骨化性筋炎様変化(4%),骨線条症(線状オス

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