診療支援
治療

進行性偽性リウマチ様骨異形成症
Progressive pseudorheumatoid dysplasia (PPRD)
平良 勝章
(埼玉県立小児医療センター 科長〔さいたま市中央区〕)

【疾患概念】

 進行性の全身の関節拘縮を生じる骨系統疾患の1つである.出生時の異常はなく,発育発達も問題ないが,幼児期から学童期に症状が出現する.手指の小関節から上下肢の大関節,脊椎に疼痛を伴う腫脹や変形がみられ,徐々に関節可動域制限が生じる.常染色体劣性遺伝の形式で,WISP3(WNT-1-inducible signaling pathway protein 3)の遺伝子変異が判明している.6q22上のCCN6(cellular communication network factor 6)の突然変異である.


問診で聞くべきこと

 家族歴については詳細に聴取する必要がある.


必要な検査とその所見

 若年性特発性関節炎に臨床像が類似しているため,炎症反応,リウマトイド因子,MMP-3などの血液検査が必要になる.PPRDではこれらは陰性である.

 PPRDは若年性特発性関節炎と異なり滑膜炎の所見は乏しいので,MRIで滑膜炎の有無を調べる.


診断のポイント(鑑別診断)

 PPRDでは脊椎の変形が生じるので若年性特発性関節炎とは鑑別可能となる.全脊椎の単純X線撮影は必須であり,汎発性扁平椎がみられる.そのほかには近位指節間(PIP)関節,股関節の関節裂隙の狭小化,手根骨間関節の狭小化,変形もみられる.

 脊椎骨端異形成症との鑑別も重要であるが,PPRDの軽症例との鑑別は困難なこともある.単純X線上で四肢骨端部の異形成を認めること,末梢の骨変化が少ないことよりPPRDと鑑別する.


治療方針

【1】保存療法

 ステロイドや抗リウマチ薬などの内科的治療は無効である.疼痛に応じての鎮痛薬の投与が中心であり,リハビリテーションで関節拘縮の進行予防に努める.

【2】手術療法

 早期の変形性関節症に対しては人工関節置換術も行われている.


合併症と予後

 関節変形,可動域制限は進行性で次第に全身の関節の拘縮が生じる.生命予後

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