診療支援
治療

骨軟化症,くる病
Osteomalacia, Rickets
坂本 優子
(順天堂大学医学部附属練馬病院 准教授)

【疾患概念】

 くる病と骨軟化症は,両者とも骨石灰化障害を特徴とする疾患であり,成長軟骨板閉鎖以前に発症するものがくる病とよばれている.両者とも栄養障害が主な原因であるが,低リン血症をきたす遺伝性疾患や腫瘍なども原因となる(「低リン血症性くる病」の項参照).本項では,主に栄養障害(ビタミンD欠乏)による骨軟化症とくる病について述べる.

【臨床症状】

 1~2歳頃はO脚を主訴に来院する,いわゆる生理的O脚症例に混ざっていることが多い.それ以降,成長軟骨板が閉じるまでのくる病の時期は,X脚を含む下肢変形や低身長が主な症状となることが多い.成人の骨軟化症は,筋力低下や骨痛が主な症状となるが特異的な症状はなく,成人は骨粗鬆症の診断を受けた症例のなかに隠れているので,鑑別として常に念頭におく必要がある.


問診で聞くべきこと

 栄養不足が原因のくる病や骨軟化症は,ビタミンDやカルシウム不足を疑う生活習慣(紫外線にあたっていない・魚を食べない・アレルギー・乳製品非摂取など),乳幼児の場合はいわゆる母乳栄養もリスクとなる.遺伝性との鑑別には,低身長や下肢変形などの家族歴がないか,本人が低身長の場合は過去の身長変化,小児期の既往についての問診も大切である.


診断のポイント

 くる病は,単純X線(以下,X線)による特徴的所見によって診断する.Cupping(骨幹端がカップ状に中央がへこむ)やsplaying(骨幹端が横に広くなる),fraying(骨幹端がけばだつ,でこぼこする)などである(「低リン血症性くる病」の項参照).くる病の種類や重症度を判定するためには,血液検査が必要である.どのくる病でもALPは異常高値(1,000IU/L以上)となり,一番頻度の高いビタミンD欠乏性くる病の診断基準は,intact PTHが異常高値,25(OH)Dが20ng/mL未満が加わる.X線では異常がはっきりしなくても

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