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慢性腎臓病・透析に併発する運動器疾患(腎性骨ジストロフィー)
Musculoskeletal disorder accompanied with chronic kidney disease and dialysis (renal osteodystrophy)
加藤 義治
(河野臨牀医学研究所附属第三北品川病院 名誉院長〔東京都品川区〕)

【疾患概念】

 腎性骨ジストロフィー(renal osteodystrophy;ROD)は慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)・透析患者に対して骨生検を行い,その骨病変を線維性骨炎,骨軟化症,無形成骨さらに境界の混合型に分類した病理所見である.現在では,この骨ミネラル代謝異常は血管石灰化などにより患者のQOL,生命予後に多大な影響を及ぼす「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常〔CKD-mineral bone disorder(MBD)〕」として認識され,RODは腎性骨症あるいはCKD-MBDの骨病理所見として位置づけられているに過ぎない.しかしCKD-MBD最重症の透析患者ではRODのみならずさまざまな運動器疾患が生じる.本項では,これらの疾患を中心に述べる.

【病態】

 CKD-MBD(特に透析)に由来する運動器疾患の病態としては,①慢性腎臓病末期で生じるビタミンDの活性化障害および高カルシウム血症,低リン血症によって引き起こされる全身性骨異常と,②透析で除去できないアミロイド(β2-microglobulin;β2-MG)が運動器の滑膜,靱帯,関節包などに付着し,局所に炎症性・増殖性病変を引き起こす局所病態(透析アミロイドーシス)がある.前者の代表的疾患が二次性副甲状腺機能亢進症の骨異常,くる病・骨軟化症,異所性骨化であり,後者は透析脊椎症〔頚椎症性脊髄症,腰部脊柱管狭窄症,破壊性脊椎関節症(destructive spondyloarthropathy;DSA)〕,アミロイド関節症(肩,膝,股関節など),絞扼性神経障害などである.特に後者では病変が骨・軟骨にまで及ぶと圧潰・脱臼・骨折などの骨破壊性変化が顕著となる.この際,骨形成が骨吸収を上回れば骨癒合へ,骨吸収が骨形成を上回ればさらなる骨破壊へと進行する.

【臨床症状】

(1)慢性腎臓病末期の骨ミ

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