【疾患概念】
骨粗鬆症は,低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患と定義される.骨折は骨粗鬆症の結果として生じる合併症の1つである.
【臨床症状】
骨量減少自体は無症状で進行するため,症状をきたすのは通常は骨折が生じたあとになる.いったん骨折が発生すれば急性に激烈な痛みが生じるため見逃すことは少ないが,転位が少ない場合や認知症などコミュニケーションに支障がある場合は注意深い身体診察,画像検査を要する.椎体骨折は無症候性に進行することも多いが,後弯変形をきたすと慢性腰背部痛をきたしうる.
問診で聞くべきこと
年齢,性別,身長,体重などの基本情報のほか,痛みなど症状の有無,骨粗鬆症や骨折の治療歴,ほかの疾患の有無,糖質コルチコイドなどを含む服薬内容の確認,ADL,食事内容や嗜好品,喫煙,アルコール,女性であれば月経の状態や閉経時期,両親の大腿骨近位部骨折歴などを聴取する.
必要な検査とその所見
(1)骨密度測定
Dual-energy X-ray absorptiometry(DXA)を用いて,腰椎と大腿骨近位部(左右どちらか)の両方を測定する.骨強度は骨密度だけで規定されるものではないが,低骨密度と新規骨折発生との相関は高く,骨折リスクおよび治療効果の判定には有用である.前腕用のDXAも汎用されているが,患者によっては部位ごとの骨密度が大きく異なることもあり,注意が必要である.
(2)脊椎単純X線,MRI
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」では,続発性骨粗鬆症が否定され,大腿骨近位部または椎体に脆弱性骨折がみられた場合は,治療を開始することを推奨している(図7-44図).椎体骨折は無症候性のことも多いため,胸椎・腰椎単純X線写真も撮影する.椎体骨折がみられた場合,その受傷時期の推定や,病的骨折との鑑別にMRIが有用である.受
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