【疾患概念】
筋ジストロフィーは筋線維の壊死を主病変とし,進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患である.筋線維の壊死とそれに伴う再生が慢性的に行われる過程で線維化や脂肪変性が出現し,筋量が減少することにより徐々に筋力低下が進行する.運動機能障害を主な症状とするが,関節拘縮,呼吸機能障害,心機能障害,嚥下障害,消化管症状,骨代謝異常,内分泌異常,中枢神経障害などの合併を認めることも多い.
筋ジストロフィーの病型として,Duchenne型/Becker型筋ジストロフィー,先天性,肢帯型,顔面肩甲上腕型,Emery-Dreifuss型,筋強直性,眼咽頭型などに分類される.
【代表的な疾患】
(1)Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)
DMDはX連鎖性劣性遺伝形式をとり,原則として男性に発症する.ジストロフィン遺伝子変異により,筋線維膜直下のジストロフィン蛋白質の欠損をきたすことにより生じる.2歳以