診療支援
治療

Charcot-Marie-Tooth病
Charcot-Marie-Tooth disease
石山 昭彦
(国立精神・神経医療研究センター病院 医長(小児神経科)〔東京都小平市〕)

【疾患概念】

 Charcot-Marie-Tooth病(CMT)は遺伝性ニューロパシーの代表的な疾患で,一般に下肢遠位優位の筋萎縮や感覚障害を呈する.CMTは臨床症状,神経伝導検査から脱髄型,軸索型に大別され,遺伝形式を加えて病型の分類がなされる.

【病態】

 末梢神経にかかわる遺伝子として,現在,70種以上の原因遺伝子が特定されているが,CMTの約半数の例はPMP22遺伝子重複によるCMT1Aである.同一の遺伝子の異常であっても,遺伝性運動性ニューロパシーなどの異なる臨床型を示す場合もある.

【臨床症状】

 凹足,逆シャンペンボトル様の筋萎縮,手内筋萎縮,足趾骨間筋萎縮,足関節変形,歩行・走行困難,鶏歩,下肢優位の手袋靴下型の感覚障害,腱反射の消失,手指振戦,筋痙攣,疼痛,下肢皮膚温低下,チアノーゼなどを認める.CMT1Aなどの脱髄型では,末梢神経の肥厚を認めることがある.症状は基本的に左右対称性である.まれに四肢近位部が優位に障害される場合もある.


問診で聞くべきこと

 小児期の発達歴や学童期の体育・運動の様子についても確認する.また,家族性にみられることもあるので,類症の家族歴がないかの確認も必要である.


必要な検査とその所見

 神経伝導検査は必須で,脱髄型では正中神経の運動神経伝導速度は38m/s以下を示し,複合筋活動電位は正常~軽度低下を示す.軸索型では運動神経伝導速度は正常~軽度低下であるが,複合筋活動電位は明らかに低下を示す.いずれにも分けられない中間型CMTもある.なお脱髄が高度な場合,活動電位が導出できない場合もある.遺伝性ニューロパシー,特にCMTを疑った場合は,保険適応であるPMP22のFISH検査を行う.ほかの遺伝子解析は大学などの研究機関で,研究解析の一環として可能ではある.


治療方針

 CMTの治療は,進行予防や疼痛緩和などを含めたリハビリテーションでの対症療法が主

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