【疾患概念】
帯状疱疹は,水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus;VZV)の初感染後,脊髄後根神経節に潜伏感染しているVZVが再活性化することにより発症する.85歳までの約半数,80歳までに3人に1人が帯状疱疹に罹患すると推定されている.発症から3か月以上持続する疼痛,いわゆる帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia;PHN)が10~20%に認められ,加齢,免疫不全を有する者では,帯状疱疹の発症および重症化のリスクが高まる.国内で実施された大規模疫学調査として,宮崎スタディ(1997~2011年)およびSHEZスタディ(2009~2012年)がある.これらによると年間の帯状疱疹の罹患率は4.38~19.9/千人・年で,年齢とともに上昇する.帯状疱疹罹患患者の19.7%がPHNを発症し,年齢別では80歳代で32.9%,60歳代で13.6%である.PHNの罹患率は全体で2.1(男性1.7,女性2.4)/千人・年であり,男女に有意差はない.再発率は1~6%の範囲の報告がある.
【臨床症状】
皮疹出現の2~7日前に,のちに皮疹が出現する部位に痛み,知覚異常,かゆみが出現する(70~80%).痛みはピリピリ,ズキズキと表現されることが多く,触れるだけで痛みを生ずる,アロディニアとよばれる症状を伴うこともある.皮疹が出現する前は,頭痛,胸痛,腹痛を内臓疾患による痛みと考えて内科受診する患者や,四肢の痛みを運動器由来と考えて整形外科を受診する患者もいるので注意が必要である.発熱,倦怠感などの全身症状を伴う.皮疹は皮膚知覚神経支配領域に一致して分布する.通常例では数日すると水疱は膿疱化し,7~10日後には痂皮を形成し,約3週間で治癒する.細胞性免疫能が低下した患者では治癒が遅れ,大きく深い皮膚潰瘍を形成する.痛みの程度は,ほとんど自覚しな
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