脊椎動物の胚発生研究により,将来筋組織を形成する細胞の分化過程が明らかになった.まず体の形がつくられる初期の段階において神経管の左右にある中胚葉由来の体節から骨格筋の元になる「筋前駆細胞」が出現する.筋前駆細胞は,成長因子の刺激を受けて活発に増殖する「筋芽細胞」へと分化し,脊柱周囲の筋肉や背側の筋肉を形成する.一方,遊走した筋前駆細胞は分裂を繰り返しながら四肢と腹部に行き渡り,将来筋肉へと分化する.一定の細胞数に到達した筋芽細胞同士は,融合して細長い「筋管細胞」に変貌し,束ねられた筋線維を形成することによって各部位の筋収縮装置をつくり出す.筋前駆細胞の一部は筋線維の周囲にとどまり,細胞周期を停止する.これらの細胞は「サテライト細胞」とよばれ,生後の筋再生能を担う.サテライト細胞は損傷シグナルを受けた場合に細胞分裂を開始し,筋芽細胞に分化後,増殖を繰り返し,発生期と同様の分化系をたどること
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治療
トピックス 筋分化の基礎
初出:今日の整形外科治療指針 第8版
発行:2021年10月
収載:医学書院 医療情報サービス(2024年11月7日 掲-ID:sei_04260-08_a009z0017)
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