診療支援
治療

褥瘡
Pressure ulcers
山下 修二
(東京大学医学部附属病院 特任講師(形成外科))

【疾患概念】

 褥瘡は,「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下,あるいは停止させる.この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡になる」と定義されている.また,さまざまな要因が関連して発生するため,創傷の治療だけではなく発生要因を改善することも重要である.最近では,ギプス,間欠的空気圧迫装置や酸素マスクなどの医療関連機器の圧迫で生じる,医療機器関連圧迫創傷も広義の褥瘡として扱われるようになっている.

【病型・分類】

 DESIGN-R®は,日本褥瘡学会が提唱する評価法であり,個別の褥瘡を経時的に評価できるだけでなく,患者間の褥瘡の重症度を比較することができ,わが国では広く普及している.また,個々の褥瘡の治癒を保証するものではないが,日本褥瘡学会学術教育委員会では,DESIGN-R®の合計点による褥瘡の治癒予測を以下のように提示しており,このDESIGN-R®による重症度判定は,治療・管理方針を決定するうえで重要な指標となる.

 ①DESIGN-R®の合計点数が9点以下であれば約8割の褥瘡が1か月未満に治癒する.

 ②DESIGN-R®の合計点数が18点以下であれば約6割が3か月未満に治癒する.

 ③DESIGN-R®の合計点数が19点以上であれば約8割が3か月で治癒しない.

【臨床症状】

 褥瘡は,外力(圧力+ずれ力)による阻血性障害,再潅流障害,リンパ系機能障害,機械的変形の4種類の機序が複合的に関与して生じる.好発部位は,仙骨部,尾骨部,坐骨部,腸骨部,大転子部,踵部,脊椎部,肩甲骨部,後頭部,耳介部などであるが,外力が加わることでどこでも生じうるということに注意したい.

 褥瘡の深達度分類として最も普及している,NPUAP/EPUAP合同ガイドラインによる褥瘡の分類は,臨床症状を理解するうえで重要である.

‍ ステージⅠ:通常骨突出部に限局す

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