診療支援
治療

片麻痺(脳血管障害)患者のリハビリテーション治療
Stroke rehabilitation
藤原 俊之
(順天堂大学 教授(リハビリテーション医学))

1.脳血管障害リハビリテーション治療の進め方

 脳血管障害リハビリテーション治療は時期により急性期,回復期,生活期(維持期)に分類される.

 急性期リハビリテーション治療のポイントは,十分なリスク管理のもとにできるだけ発症早期から積極的なリハビリテーション治療を行うことである.特に早期からの座位獲得,嚥下評価に基づく栄養手段の決定と摂食・嚥下訓練が重要である.

 回復期においては機能障害,日常生活動作(activities of daily living;ADL)を用いた予後予測に基づくゴールの設定を行い,適切なリハビリテーション治療プログラムの立案ならびに期間の設定を行い,理学療法,作業療法,言語療法のリハビリテーション処方を行う.歩行障害に対しては適切な下肢装具を処方し,装具療法を行うことも重要である.

 生活期(維持期)のリハビリテーション治療では,回復期に獲得された筋力,体力,歩行能力,ADLの維持向上や参加促進,quality of life(QOL)の改善を目的に介護保険を利用して訪問・外来リハビリテーションを行う.


2.評価

 リハビリテーション治療を行うにあたり,脳卒中の病態,機能障害,活動制限(能力低下),ADL,社会的不利(参加制約)を評価する.信頼性・妥当性が検証されており,「脳卒中治療ガイドライン」で推奨されている評価尺度を表10-3に示す.


3.急性期リハビリテーション治療

 Japan Coma Scale1桁で,運動の禁忌となる疾患や神経症候の増悪がなければ,座位訓練,立位訓練などの離床訓練を進めることがガイドラインで勧められている.ADLの獲得ならびに積極的なリハビリテーションの施行には座位保持能力が必要であり,早期からの座位訓練は重要である.30分以上の車椅子座位が可能となると訓練室での訓練が可能となる.

 また栄養手段の決定も急性期において重要であり,反

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?