診療支援
治療

補装具の公的支給と手続き
Supply system of prosthetic and orthotic appliances
田中 洋平
(JR東京総合病院 主任医長(リハビリテーション科)〔東京都渋谷区〕)

【概要】

 義肢・装具の処方と支給の流れは,医師が医療保険で処方する仮義肢・治療用装具と,身体障害者手帳を利用してユーザーが区市町村から支給を受ける本義肢・更生用(生活用)装具の2つの場合に分けられる.


1.仮義肢・治療用装具

 疾病の治療過程において用いられる義肢や装具のことで,各種医療保険において製作が認められている.既製品の場合もある.

 例えば膝関節の手術後に処方される膝装具,外反母趾に処方される足底装具(インソール),脊椎手術後に処方される体幹装具はいずれも治療用装具に分類される.切断術後のリハビリテーション中に,初めて製作される義肢は仮義肢(訓練用仮義肢)とよぶ.

 医師が処方し,義肢装具士が採型もしくは採寸して製作する.医師は仮合わせや完成時にオーダーしたものが適切に作られているかチェックする.

 費用はいったん患者が全額負担するが,患者が保険者(例:健康保険組合)に費用を請求することで,例えば病院での窓口負担が3割負担の患者は費用の7割が保険者から支給される(償還払い方式).


2.補装具(本義肢と更生用装具を含む)

 補装具とは,障害者の失われた身体機能を補完または代替し,日常生活または就学・就労に継続して必要なものである.本義肢と更生用装具は補装具の一部であり,視覚障害者の盲人安全つえや聴覚障害者の補聴器も補装具に含まれる.支給に際して専門的な知見を要するため,医師は補装具費支給意見書の記載を求められる場合がある.

 補装具費の支給を受けるには身体障害者手帳が必要である.原則1個の支給であるが,装飾義手と能動義手のように用途が異なるものであれば2個まで支給が認められる.

 本義肢とは,仮義肢後に製作される2本目以降の義肢のことを指す.障害者総合支援法に基づき,図10-11のような流れで支給される.

 費用負担は仮義肢や治療用装具のときとは異なり,ユーザーが自己負担分のみを義肢

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