診療支援
治療

介護保険の仕組み
Long-term care insurance system
河﨑 敬
(京都府立医科大学 講師(リハビリテーション医学))

 高齢化の進展に伴い,要介護者の増加,介護期間の長期化など介護ニーズが高まる一方で,核家族化の進行,介護する側の高齢化など,要介護者を支えてきた家族の状況も変化してきた.従来の制度による対応には限界があることなどから,1997(平成9)年に介護保険法が成立,2000(平成12)年に施行され,介護保険制度が導入された.介護保険制度の特徴は「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」である.


1.介護保険の仕組み

 介護保険サービスは,利用者の居住する場所(在宅,施設など)に応じて提供されている.在宅(居宅)では,訪問介護・看護などの訪問系サービス,通所介護,通所リハビリテーションなどの通所系サービス,短期入所生活介護(ショートステイ)などを提供する短期滞在系サービスがある.施設では,居住系施設入居(有料老人ホームなど)の居住系サービス,介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム),介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院などの入所系サービスがある.申請から認定までの流れを図10-12に示す.介護保険サービスの利用には,利用者からの申請を受けて地方自治体などの保険者が依頼した認定調査員による心身の状況調査(認定調査)と,医師が記載する「主治医意見書」に基づいてコンピュータによる判定を行う(一次判定).さらに保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会が,一次判定の結果や主治医意見書などに基づき審査判定を行う(二次判定).判定により,申請者は該当なし,要支援1,2と要介護1~5の8段階に分類される.決定した区分に応じて区分支給限度基準額が存在し,介護支援専門員(ケアマネジャー)が,さまざまなサービスを組み合わせてオーダーメイドのケアプランを作成する.サービスには,福祉用具貸与や家屋改修なども含まれる.

 介護保険の加入者(被保険者)は40歳以上で,介護保険サービスの対象

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