【疾患概念】
石灰沈着性腱板炎は,腱板周囲(腱板,滑液包,腱鞘滑膜など)に石灰(アパタイト結晶)が沈着することにより肩関節に発症する炎症性疾患であり,疼痛および運動時痛を主訴として日常診療によく遭遇する疾患である.
石灰沈着の発生メカニズムは,いままでに明らかにされていない.一般的に,腱板の加齢および腱板への反復する力学的負荷により引き起こされた,退行変性と血行不良により腱実質細胞が軟骨細胞に分化し,同細胞からアパタイト結晶が形成されると考えられている.この石灰物質が腱板内から肩峰下滑液包内に放出されることにより,滑液包の急性炎症を引き起こす.また,腱板内に石灰沈着が限局した場合では,石灰物質の機械的刺激により,腱板と肩峰下面部との衝突が起こり,肩峰下滑液包炎を引き起こす.
【臨床症状】
臨床症状は程度と経過により3型に分類される.
①急性期:肩関節の激痛が急性発症し,他動的に動かすことも困
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