【疾患概念】
投球障害肩は投球過多,フォーム不良,局所,全身的要因により肩関節に非生理的な過剰負荷が加わり,投球時に疼痛が生じる症例の総称である.
【病態メカニズム】
発症メカニズムとして,①前方の緩みが関節内外のimpingementを生じさせ発症起点となる場合と,②後方関節包や筋肉の硬さ(後方タイトネス)が骨頭を後(前)上方に押し上げるために生じる2つのメカニズムが存在する(図11-23図).①は前上方関節包(腱板疎部),上,中関節上腕靱帯などの弛緩,前上方関節唇の剥離などにより生じる.②は後方関節包や棘下筋,小円筋,三頭筋長頭などの後方筋群が硬化(後方タイトネス)し前後のバランスが大きく崩れ,骨頭中心が不安定になるために前方の損傷も惹起される.Bennett骨棘は三頭筋長頭,後方関節包の肩甲骨付着部での牽引により生じる骨棘である.この骨棘は後方関節包,小円筋,棘下筋を刺激し後方要素の硬