【疾患概念】
上腕二頭筋および三頭筋は二関節筋であり,肩関節安定性および前者は主に肘屈曲筋,前腕回外筋として,後者は肘伸展筋として働く.退行性の変化に加え,外傷,繰り返すストレスにより腱断裂が生じる.これまでは中高年の重労働者,スポーツ愛好家,ステロイド使用歴などがリスクとされていたが,近年スポーツ愛好家やボディビルダーなどにおいては上腕二頭筋,三頭筋筋力が強くなり若年者でも比較的多く報告されるようになった.疼痛が軽微な場合には自覚症状が少ない場合もあるが,初期発見が遅れると疼痛残存,筋力低下(特に前腕回外,肘伸展力)を残し,治療が困難となることもある.
1.上腕二頭筋腱皮下断裂
【臨床症状または病態】
上腕二頭筋腱長頭(近位部,肩関節部)は,上腕骨結節間溝にて大きく走行を変えるため損傷されやすい.上腕遠位(肘関節部)での上腕二頭筋腱は,橈骨粗面に付着し大きく走行を変えるが,肘前面の腱膜と強く
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