【疾患概念】
成長期の上腕骨小頭に生じる骨軟骨障害である.野球選手の発生が多く外側型野球肘に分類されるが,ドッジボールなど投球・投擲動作を繰り返すほかの球技や,器械体操などでも発生する.10歳代前半の発症が多く,腕橈関節への反復外力が誘因と考えられる.一方で,軟骨下骨折,局所血流障害,遺伝的素因などの関与を示唆する報告もある.
【臨床症状】
初期には無症候であることが多いが,徐々に投球時,特に加速期に肘関節外側部痛を自覚する.進行すると関節可動域制限や遊離骨軟骨片によるロッキング症状を呈する.
問診で聞くべきこと
疼痛部位,発生時期,疼痛が誘発される動作に加え,スポーツ歴を聴取する.スポーツは種目,継続期間,プレイ頻度,また,野球であればポジション,使用する球(軟球,硬球など),競技レベルも確認するとよい.
必要な検査とその所見
単純X線像(図13-7図)で上腕骨小頭陰影の不整や遊離片の有無を確認する.病巣は45°屈曲位正面tangential viewで描出されやすい.MRIは初期病変を描出可能であり,また,病態把握(骨壊死など)に有用である.CT,特に3D-CTは病巣部位,大きさの把握に役立つ.超音波検査は非侵襲的に小頭関節軟骨や軟骨下骨の不整を捉えることができる.
鑑別診断で想起すべき疾患
(1)Panner病
上腕骨小頭骨端核への血行障害により発症する骨端症で,10歳以下の発症が多い.離断性骨軟骨炎と異なり,小頭骨端核全体に病変が及ぶことが多い.予後良好.
(2)上腕骨外側上顆炎
基本病態は外側上顆に付着する筋腱付着部炎であり,疼痛・圧痛部位,各種誘発テスト(Thomsenテストなど)で鑑別可能.
肘内側側副靱帯損傷,内側上顆裂離骨折,肘頭疲労骨折などほかの投球障害肘も鑑別疾患に挙げられるが,臨床症状,疼痛部位,画像診断より鑑別は容易である.
診断のポイント
病態初期より腕橈関節
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