【疾患概念】
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)によって肘関節の滑膜炎が生じ,長期間の罹患によって関節軟骨や関節近傍の骨を破壊して肘関節の変形や不安定性あるいは強直を生じた肘関節で,多くの例で尺骨神経麻痺を伴う.
【病型・分類】
肘関節の単純X線画像によって,Steinbrockerのstage分類ではstageⅠ~Ⅳ,Larsenのgrade分類ではgrade 0~Ⅴに関節の破壊程度が分類されている.
grade 0(正常)
grade Ⅰ(軽度の異常):関節周囲の軟部組織の腫脹,関節近傍の骨萎縮,軽度の関節裂隙の狭小化のうち少なくともどれかがみられる
grade Ⅱ(初期変化):1ないし数個の小さな骨びらんおよび関節裂隙狭小化
grade Ⅲ(中等度の関節破壊):著明な骨びらんおよび関節裂隙狭小化
grade Ⅳ(高度の関節破壊):高度の骨びらんおよび関節裂隙消失.元の関節表面は部分的に残る
grade Ⅴ(ムチランス変形):変形高度で本来の関節表面は消失
これらの分類について関節ごとにstandard filmが用意されており,肘関節についても参照可能である.
【臨床症状】
肘関節の腫脹,熱感,痛み,可動域制限などがみられる.RAの症状である手のこわばり,多関節炎などの症状が先行して現れることが多い.進行例では肘関節の外見的変形のみならず,不安定性や肘関節拘縮,尺骨神経麻痺などが認められる.
必要な検査とその所見
RAの疾患活動性を客観的に把握し,薬物療法や手術療法による治療方針を決定するためには,詳細な身体所見をとることと血液検査,画像検査が必要である.
疾患活動性複合指標のうち,DAS28は評価関節を肩,肘,手,中手指節,近位指節間,膝関節の28関節に限定しており,日常診療で使いやすい.機能性評価法として,HAQおよびmHAQが用いられるが,
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