【概説】
橈骨遠位部骨折に対する多くの分類が存在するが,現在頻用されている2分類について解説する.1つは,古くから使用されている冠名分類であり,2つ目が現在最も頻用されているAO分類である.冠名分類は,骨折の大まかな形態的特徴を名称で容易に伝えることができるので,日常診療で頻用される.AO分類はユニバーサルな分類法で,関節外・内骨折の形態的変化を詳細に分類している.
1.冠名骨折分類
【1】Colles骨折
1814年にAbraham Collesの記載した,遠位骨片が背側に転位した骨折で,現在でも橈骨遠位端骨折の代名詞的に使用されている.橈骨遠位部で最も多い骨折である.
【2】Smith骨折
1847年にRobert W. Smithが記載した,遠位骨片が掌側に転位する骨折である.
【3】Barton骨折
1838年にJohn R. Bartonが記載した,冠状面での関節内骨折で,背側縁が骨折し