【疾患概念】
Barton骨折は,橈骨遠位関節部にかかる部分骨折とともに手根骨が亜脱臼する脱臼骨折で,橈骨遠位端骨折の1つの型である.背側に転位する背側Barton骨折と,掌側に転位する掌側Barton骨折とがある.
【頻度】
Colles骨折,Smith骨折,Barton骨折の順番の頻度で,まれな骨折である.
診断のポイント
単純X線側面像にて遠位関節縁骨片の転位を確認する.また,CTにて部分関節内骨折であることや,骨片転位の程度などが詳細に判断できる.
専門病院へのコンサルテーション
掌側Barton骨折は手術適応であるので,専門病院へのコンサルテーションが推奨される.
治療方針
転位のある骨折は徒手整復を試みる.徒手整復ギプス固定後にstep-offあるいはgapが2mmより大きい例は手術適応となる.ガイドラインではBarton骨折の記載はないが,手術適応は同様である.
治療法
【1】保存療法
背側Barton骨折は保存療法が可能な骨折型の1つである.徒手的に遠位方向に牽引後に手関節を軽度背屈して,橈骨遠位掌側関節面と掌側橈骨手根靱帯・関節包との窪みに背側に脱臼していた手根骨を整復する(図14-7a図).前腕から中手指節(metacarpophalangeal;MP)関節近位まで,手関節やや掌屈位でギプスシーネ固定する.
【2】手術療法
掌側Barton骨折は掌側に転位している掌側縁骨片を観血的に整復して,掌側よりnon-locking plateによる支えプレート(buttress plate)固定を行う(図14-7b図).通常,遠位骨片はスクリュー固定不要である.掌側縁骨片が粉砕されているときは掌側ロッキングプレートを用いて,遠位骨片へのロッキングスクリュー・ピンによる固定が有用である.近年,橈骨関節面掌尺側骨片が小さい場合,掌側ロッキングプレート固定では骨片の固定性が得られず
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