診療支援
治療

先天性橈尺骨癒合症
Congenital radioulnar synostosis
加藤 博之
(医療法人社団曙会・流山中央病院手外科・上肢外科センター〔千葉県流山市〕)

【疾患概念】

 胎生期の上肢分化障害による近位橈尺関節の完全癒合あるいは線維性癒合のために,前腕の回旋障害が生じる.男性に多く,約半数は両側罹患である.家族歴,全身の合併奇形がみられることがある.2~4歳時に,箸,茶碗の持ち方がおかしい,「頂戴の動作ができない」などの訴えで受診することが多い.

【頻度】

 小児の上肢先天異常疾患のなかでは比較的多い.


問診で聞くべきこと

 患児の具体的な日常生活動作(activities of daily living;ADL)障害.


診断のポイント

 前腕を他動的に回内・回外運動し,回旋不能であることを確認する.

 橈尺関節の強直角度は回内0~90°(平均回内40°)と個人差がある.

 線維性癒合の場合は,回旋運動の制限が認められる.

 手関節部での代償的回旋運動があるため,手部を回旋させる診断法は不正確である.肘関節90°屈曲位で,橈骨茎状突起と尺骨頭を挟み前腕遠位部で他

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