診療支援
治療

手関節の画像診断
Diagnostic imaging of the wrist
坪川 直人
(新潟手の外科研究所病院 院長〔新潟県聖籠町〕)

1.X線撮影

 手関節疾患の診断には正確な手関節2方向撮影が必要である.正面像は肩関節外転90°,肘屈曲90°,前腕回旋中間位,手関節中間位での後前像,側面像は肩関節外転0°,肘関節90°屈曲,前腕回旋中間位,手関節中間位で撮影を行う.それに加えて回内斜位像,回外斜位像を追加する.診断には健側との比較も重要である.正面像での診断は手根骨のカーブ(Gilula arch)がポイントになる(図15-3).archⅠでは近位手根骨の舟状骨,月状骨,三角骨の近位,archⅡは近位手根骨の遠位,archⅢは遠位手根骨,有頭骨,有鉤骨の近位である.それに加えて橈骨関節面を確認する.手根骨archの乱れは,手根骨骨折,月状骨周囲脱臼骨折,手根不安定症,月状骨壊死のKienböck病,舟状骨壊死のPreiser病やそれらに伴うSLAC(scapholunate advanced collapse) wrist,SNAC(scaphoid nonunion advanced collapse) wristなどの変形性関節症で生じる.橈骨遠位端骨折,前腕骨折による遠位橈尺関節脱臼(Galeazzi脱臼骨折)の診断にも有用である.手関節X線での計測には,正面像で橈骨尺側傾斜角,尺骨のvariance,手根管骨間距離,手根骨の圧潰の程度であるcarpal height ratioなどがある.舟状月状骨解離(Terry-Thomas sign)などに代表される手根骨の解離は手根靱帯の損傷を示し,手根不安定症が確認できる.側面像での計測では,橈骨掌側傾斜角,手根不安定症の診断に使用する舟状月状骨角度,橈骨月状骨角度などがある.また手関節尺屈位正面像では舟状骨骨折線が明瞭に描出される.そのほか有鉤骨鉤骨折に対する特殊撮影として手根管撮影がある.


2.CT(computed axial tomography

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