【疾患概念】
三角線維軟骨複合体(TFCC)は解剖学的に実質部と周辺部に区分でき,前者は手関節尺側において衝撃緩衝体として,後者は遠位橈尺関節(distal radioulnar joint;DRUJ),尺骨手根関節の安定性に寄与する靱帯としての機能を有する.その損傷は手関節尺側部痛やDRUJ不安定症の原因となる.
【病態】
急性損傷と慢性(陳旧性)損傷がある.明らかな外傷ののちに疼痛が生じれば急性損傷と診断できるが,はっきりとしないものもある.慢性例は尺骨突き上げ症候群を伴うことも多い.分類には従来Palmer分類が用いられてきたが,昨今損傷の多様性が明らかとなり種々の分類が提唱されている.その一例であるオリジナル分類を記載する(表15-1図).無神経野である実質部の損傷が疼痛を生じる原因はTFCC全体に生じる歪み,断裂片の挟み込みなどが考えられる.周辺部損傷では程度の差はあれDRUJの不
関連リンク