【疾患概念】
中手骨骨折は,骨頭骨折,頚部骨折,骨幹部骨折,基部骨折に分類される.上肢の骨折のなかでも頻度の高い骨折であり,なかでも小指の中手骨頚部骨折の頻度が高い.本項では示指~小指の中手骨骨折について述べる.
【臨床症状】
手背部の疼痛,腫脹,皮下出血を認める.中手骨骨折では内在筋と外在筋の緊張度から近位骨片が伸展し遠位骨片が屈曲するため,背側凸変形を呈する.背側凸変形に伴う中手指節(metacarpophalangeal;MP)関節の過伸展とこれに続く近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節の伸展制限を生じた状態をpseudoclawingと呼称する.
診断のポイント
単純X線で骨折線を認めることで確定診断できる.特に小指,環指の中手骨基部骨折は見逃されることが多いため,側面像や斜位像でも評価すべきである.また,外傷歴について問診しておく.何かを殴った際