【疾患概念】
近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節脱臼骨折は背側への脱臼が大半で,スポーツにより受傷することが多い.PIP関節が軽度屈曲位で,指尖部から長軸方向に外力が加わると中節骨基部掌側に三角形の骨折が生じ,その骨折部は通常の位置にとどまり,基節骨が背側に脱臼するというパターンを示す.掌側脱臼骨折は非常にまれである.
診断のポイント
受傷機転とPIP関節の腫脹,背側への突出,可動制限により本疾患が疑われる.X線検査でほぼ確定診断がつくが,その際正確な側面像が必須である.関節の陥没や掌側骨片の粉砕を伴う場合は,CTが有用である.過伸展損傷による掌側板骨折とは治療法が異なるために,鑑別しておかなくてはならない.通常この場合は脱臼を伴っていない.
治療方針
掌側骨片の大きさが関節面の1/3以下である場合は,原則保存療法の適応である.次に整復位の安定性で治療方