【疾患概念】
突き指による受傷機転により,遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節の伸展機構が損傷を受ける,日常的によくある外傷である.受傷後,放置して陳旧例となって初めて医療機関を受診することも少なくない.治療の目標は,DIP関節伸展機能の再獲得である.
診断のポイント
DIP関節が屈曲位で自動伸展不能な肢位から本症を疑ったら,単純X線DIP関節2方向撮影で骨折の有無を確認する.分類はDoyleの分類がすべての受傷形態を網羅している(図16-5図).
治療方針
伝統的には,骨折骨片がDIP関節面の1/3以上を占めていたり,DIP関節の亜脱臼がある場合には手術治療が推奨されている.手術治療の絶対的適応にコンセンサスはないが,スプリントを使用してもDIP関節の亜脱臼を整復できない場合は,手術療法を考慮すべきである.
保存療法
Type Ⅰでは,掌側スプリントが使用されることが多い.6週間のDIP関節伸展位固定が望ましく,固定期間終了後に夜間スプリントを2週間追加する場合もある.スプリント交換の際には,DIP関節が屈曲しないように指先を保持するように指導する.
掌側板が弛く近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節が過伸展傾向にある患者は,受傷後白鳥のくび(スワンネック)変形を生じることが知られている.PIP関節が過伸展となる患者は,治療初期の3週間,PIP関節30~40°の屈曲位固定を同時に行う.
陳旧例でDIP関節の屈曲拘縮を生じ,他動的に完全伸展できない場合は,受診時からスプリントを使用して,数回の受診でスプリントの角度を変えて0°の伸展位が得られるまで調節する.
Type ⅣAは,小児の骨端線損傷である.非観血的整復を行い,掌側スプリントでDIP関節伸展0°で3~4週間固定する.
手術療法
Type Ⅱでは,開放創を