1.屈指症
【疾患概念】
先天性の近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節の屈曲拘縮であり,先天奇形の分化障害(軟部組織の拘縮に起因する異常)に分類される.小指に両側性に罹患することが多く,生後すぐに見つかるものと10歳前後に見つかるものに分けられる.掌側皮膚の異常,浅指屈筋腱(flexor digitorum superficialis;FDS)および虫様筋腱の起始・停止の異常,PIP関節部の伸筋腱の形成障害などの異常により進行性の屈曲変形が生じ,二次的に基節骨の変形を生じる.多数指罹患の屈指症は風車翼手と類似した病態と考えられている.
必要な検査とその所見
拘縮の程度が強い症例では,X線検査にて基節骨の変形(基節骨頭の先細りや基節骨頚部掌側の圧痕など)を認める(図16-16図).
治療方針
まずは他動伸展のリハビリテーションおよび伸展装具による保存加療を根気