診療支援
治療

屈指症,斜指症
Camptodactyly, Clinodactyly
本宮 真
(帯広厚生病院 部長〔北海道帯広市〕)

1.屈指症

【疾患概念】

 先天性の近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節の屈曲拘縮であり,先天奇形の分化障害(軟部組織の拘縮に起因する異常)に分類される.小指に両側性に罹患することが多く,生後すぐに見つかるものと10歳前後に見つかるものに分けられる.掌側皮膚の異常,浅指屈筋腱(flexor digitorum superficialis;FDS)および虫様筋腱の起始・停止の異常,PIP関節部の伸筋腱の形成障害などの異常により進行性の屈曲変形が生じ,二次的に基節骨の変形を生じる.多数指罹患の屈指症は風車翼手と類似した病態と考えられている.


必要な検査とその所見

 拘縮の程度が強い症例では,X線検査にて基節骨の変形(基節骨頭の先細りや基節骨頚部掌側の圧痕など)を認める(図16-16).


治療方針

 まずは他動伸展のリハビリテーションおよび伸展装具による保存加療を根気強く行う.軽症例では治癒が期待できるが,X線検査にて基節骨の変形を認める場合や保存加療に抵抗性の場合には手術加療を検討する.


手術療法

 皮膚の拘縮解離,屈曲拘縮の原因となっている掌側の軟部組織(FDSや虫様筋の異常部位)の解離,および掌側軟部組織の再建(局所皮弁や全層植皮)を行う.まれに伸展機構に異常を認める場合には,腱移行による伸展再建を行うこともある.


患者説明のポイント

 成長期は装具治療を中断すると再発することが多く,しっかりと装具を装着するように指導する.また,手術治療を行っても術後装具療法の継続が必要であり,術後にPIP関節の伸展不全やPIP関節の屈曲拘縮および屈曲制限が残る可能性があることを説明する.


2.斜指症

【疾患概念】

 先天性の指の側屈変形であり,先天奇形の低成長に分類される.正常と異常の境界が不明瞭であり,一般的には10°以上の変形が異常と考えられている.小指の中節骨に変形を

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